8月といえば、私の頭に浮かぶのは広島長崎への原爆投下、戦争。そして平和についての思いを深めようと改めて思う。
数ヶ月前の話になるけど、病欠カバーで夜勤をした。普段働いている病棟では無いほうの病棟での勤務だった。
その病棟の患者さんとはほとんど面識はなく、申し送りを受けて、22時の投薬のために患者さんを回りながら簡単に自己紹介をして言った。
ある患者さん、ジョン(仮名)のもとへ22時の投薬とともに、挨拶をした。
「Hiです、いつもは隣の病棟で日勤で働いてますけど今日は病欠カバーでこっちの病棟で夜勤です。よろしく・・・」
といい終わらないうちにジョンが驚いているのがわかった。
そして「君は日本人?」と聞かれたので
「そうです、よくわかりましたね」と笑顔で答えると、ジョンは困ったような、でも笑顔のような・・・表現しづらい複雑な表情をした。
そんなジョンのリアクションに、どう答えてよいのかわからず、ちょっと沈黙してしまった。
すると、ジョンがゆっくりと口を開き、実は戦時中彼が旧日本軍の捕虜だったということを教えてくれた。
内心、私はかなり動揺してしまった。
研究若者の肥満
第二次世界大戦中、日本軍が東南アジアへ侵攻した際にそこにいたイギリス軍を撃破し、そして多くのイギリス兵を捕虜にした。その後、過酷な強制労働などを強い、捕虜はひどい扱いを受けたと聞く・・・。
いまだに元日本軍の捕虜であったイギリス人の中には日本に対する憎悪をもっており、何年も前に日本の天皇陛下がイギリスを訪れたとき、日の丸を焼き、背を向けるなどの抗議行動をおこなっているし、日本人だというだけで嫌な思いをしたという在英の知り合いもいる。
(なんで日勤スタッフは申し送りのときに何で教えてくれなかったのか)とすこし恨んだ・・・。
ジョンだって日本人のナースに受け持ってもらいたく無いだろうに。。。と思った。
つらい過去の記憶を呼び起こすようなこともしたく無いのに。
「こんなところで日本人に会うとはびっくりしたよ。」と穏やかにジョンは話し始めた。なぜ私がイギリスにいるのか、なぜホスピスで働いているのか・・・いろいろ聞かれた。
まだほかの患者さんの投薬が終わっていなかったので、ジョンに
「申し訳ないですけど、ちょっとほかの患者さんのところへ行かなくてはいけなくて・・・。後でゆっくりお話しませんか?」
というとにっこり笑って、了解してくれた。
epedemicうつ病
11時半過ぎ、患者さんたちが寝静まった頃、ジョンのところに行った。
ジョンはおきて私を待っていてくれた。
ジョンは捕虜だった頃の話を聞かせてくれた。
日本語を強制的に教えられ、話すことを強いられたこと。何十年もたった今でもすこし、そのとき覚えた日本語を覚えていた。
満足に食事を与えられず、ガリガリにやせてしまったこと。
死を覚悟したこと。
イギリスに戻ったとき、ジョンの奥さんと抱き合って泣いたこと。
何年か後に近所に日本人が引っ越してきたとき、いい思いがしなかったこと。でも、その日本人夫婦と話すうち、心を開くことができたこと。
「人生の中でこんなにガリガリにやせたのは、癌である今とあのときくらいだね」と苦笑いしていた。
そして、今日本でどのような教育がされているのかも聞かれた。
歴史についてはすべての学校で教育していること、また日本の憲法で日本は2度と戦争に介入しないことを説明した。
私の意見も聞かれた。
フリンNAと肥満の介入
私自身、あの時代、日本だけでなく世界中がおかしかったと思う。
世界中が戦争という悪魔・狂気に取り付かれてしまっていたように思う。
もう何十年も前のこと、歴史は変えられない。
だけど、これから先、同じことを繰り返さないようにすることはできる。
沢山の人が苦しんだ戦争は2度と起してはいけない。
戦争では何も解決しない、憎しみが生まれるだけ・・・。
ジョンはうなずきながら私の話を聞いてくれた。
「そうだね。自分もそう思うよ。過去はもう変わらないし、僕は戦争は憎いけど、日本人が憎いわけじゃない。君と話せてよかった。」といってくれた。
気づいたらすでに12時半を過ぎていて、私がなかなか戻ってこないのを心配したほかのスタッフが様子を見に来た。ジョンも私もそんな時間なのかとちょっとビックリした。
そしてジョンにおやすみといってナースのオフィスに戻った。
終戦から何十年もたち、戦争について忘れ去られ、遠い過去のもののようになってしまってきているかもしれない。
たしかに戦争を起したのは私達の世代ではない。だから忘れて言い訳ではない。
あのように多くの人が苦しみ、亡くなった出来事はけして忘れてはならない事。
そして2度と起してはならないこと。
終戦記念日を迎えるこの8月、多くの人が平和について関心を高めてくれますように。
2年前の記事になりますが、「平和について思うこと」もよかったらどうぞ。
追記:8月6日
貴重な体験やお話のコメントをいただきました
本文だけでなく、ぜひみなさんからのコメントのほうも読んでみて下さい。
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