ある生徒さんの話。部活はとても頑張っているのだが、勉強をおろそかにしてしまい、今度の期末試験の成績次第では留年だというのだ。「成績を上げたい」という強い要望を持って相談に来た。
科目は物理。試験範囲は教科書約50ページ分。試しに1ページ分を説明し、理解させ、問題が解けるようになるのにどのくらいの時間がかかるか測ってみた。これで、生徒さんの現在の学力レベルが大体わかる。結果、1ページに約1時間かかることが分かった。ということは、すべての範囲をカバーするだけで50時間か。でも、試験範囲を1回勉強しただけでは忘れてしまう。本当に身に付けるためには、同じことを3回は繰り返す必要があるだろう。とはいっても、2回目、3回目の勉強は1回目よりも短い時間で終えられるはず。だから2回目、3回目分を合わせて、1回目と同じ50時間かかると考えよう。すると合計で100時間だ。
ここで大変なことが分かった。期末試験までに確保できる自宅勉強の時間が60時間しかないのだ。試験は全部で10科目。そのうち6科目は留年の危機とは関係ない。だから、これらは一夜漬けでもいいだろう。前日に2時間だけ勉強することにしよう。だからこの6教科に書ける勉強時間は12時間。残りの自宅勉強の時間は60-12で48時間。これを物理を含む残りの4科目に均等に割り振ると1科目あたり12時間になる。物理に100時間必要なのに、12時間しかない。勉強時間が圧倒的に足りない。少し睡眠時間を削るとかいうレベルでは解決できないほど時間が足りないのだ。
ここで、生徒さんに聞いてみた。「勉強時間があと8倍くらい必要なんだけど、何かいい方法はないかなぁ?」。まず出てきたアイディアは、
・授業を真剣に聞く
というものだった。素晴らしい!そこで、もう少し掘り下げてみた。
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「なるほど、自宅学習の時間が足りないのだから、授業時間をうまく活用しないとならないというのはいいアイディアだね。ところで、真剣に聞いたら分かりそう?」
「いやー、実はこの先生の授業はとても早くて、殆ど誰もついていけてないんです。だから真面目に聞いている人もほとんどいない感じで…。」
「そうか。だとすると、聞くだけでなくて、分からない部分を分かるようにならないといけないよね?」
「うん」
「実は、そんな時にいい方法があるんだ。もう、すでに教えたことなんだけどね。「もし…ならば、結果として~になる。なぜならば…」という形で、習ったことを整理するんだ。」
例えば、こう。教科書のこの部分を、「もし、AA'の距離がxならば、結果としてt秒後のBB'の距離はx sinθになる。」といった感じに書いてみるんだ。ここまでは簡単。でも、なぜならばの部分は書いていない。ここを自分で考えてみる。これが分かれば書いてあることが分かるということ。分からなければ、理解できていないということなんだ。分からない場合には、先生に、「もし、AA'の距離がxならば、結果としてt秒後のBB'の距離はx sinθになる」という部分がなぜこうなるのか分からないので教えてくださいと聞けばいい。ただ、「この問題が分かりません」というだけでは、先生は、何が分からないのかが分からないから、どこをどう教えていいかも分からない。でも、分からない部分を明確にすれば、先生もsinθが絡む三角関数の知識でつまずいているのだろうと分かる。だから、分かるように説明できるんだ。」
「他には対策はないかなぁ?」と聞くと、もう一つアイディアが出てきた。
・ヤマを張る
これもいいアイディアだ。勉強時間が足りないのだから、試験に出そうな部分だけを効果的に勉強しようというわけだ。
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「そうだね。ヤマを張らないといけないね。そして、もう1つ大事なことがある。それはヤマが当たること。張ったヤマがはずれたら、まずいよね?だから、ヤマを当てるにはどうしたらいいか考えて見よう。どんな方法があると思う?」
「昔の試験を参考にする」と言って、前の学期の試験を見せてくれた。
「おお、いいね。ところで、これは前の学期の試験だけど、今度受ける試験の問題って手に入らないかな?先輩が去年の試験を持っていたりしないかな?」
「僕だったら、普通は試験が終わると、くしゃくしゃにして捨ててしまうものだけど、もしかしたら持っている人がいるかもしれません。聞いてみます。」部活に入っておくとこんなところでも役に立つ。
「でも、先生は今年から来た人だから、去年の問題とは違うかもしれません。」
「なるほど。でも、学校のレベルは去年も今年も同じだから、参考にはなると思うんだ。新しい先生も、去年の試験問題をみながら、今年の問題を作るかもしれないしね。でも、新しい先生のことが心配だったら、もっといい方法もある。先生に試験範囲や、どこを勉強しておけばいいか直接聞けばいいんだ。これが一番間違いない。先生に直接訪ねて、しかも過去問もあれば、試験問題はある程度予想できると思うんだ。もちろん、僕が手伝うしね。」
「実は、これはすごい方法なんだ。授業が早くて、殆ど誰もついていけないんだろ?だから、誰も授業を一生懸命に聞いていないんだろ?そんな先生に、試験範囲や勉強のやり方を尋ねたり、授業中に分からない部分を尋ねたりしたりどうなると思う?先生から見たキミ印象は、どんなに少なくても10段階評価の半分よりは上、もしかしたら相当上になると思わない?」
「うんうん」
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「内申点っていうのは、要するに、印象だ。先生が自由につけていい。とは言っても、キミに10段階の10をつけるとなるとそれなりに理由がいる。ここで、「あの生徒は授業を理解しようと知識を整理し、分からないところも具体的に質問をした。それに試験の大分前から勉強の仕方を聞いてきた」となると、理由としては十分だ。内申点だけじゃない。授業を聞きながら、分からない部分をはっきりさせて質問をすると、分かるようになる。内容が理解できていて、出る問題もある程度予想できれば、試験の成績も当然あがることになる。つまり、内申点もあがるし、試験の成績もあがる。どうにか留年しないしようにしようっていう話じゃないんだ。物理がもう苦手科目ではなくなるっていう話なんだよ。」
やるべきアクションは3つ
・先生に試験範囲や適切な教材について尋ねる
・過去問を集める
・「もし…ならば、結果として~になる。なぜならば…」という形で知識を整理する
このうち、最初の2つが「ヤマを張る」ということ。これはすぐにできる。そして、3つ目が、「授業を真剣に聞く」ということだ。真剣に聞くって言葉ではいうけど、そもそも分からない授業を真剣に聞くってことは、こういうことなんだ。これを継続してやっていくことが大切だ。
「もし」、「結果として」、「なぜならば」。これで知識を整理することが肝となる。あまりに重要なので、これまでの話を例にして、図をみながらもう一度説明しよう。
「もし、勉強時間が圧倒的に足りない、かつ、成績を上げたいのならば、結果として授業時間をうまく活用しなければならない。(なぜならば、授業で理解できてしまえば、自宅でたくさん勉強しなくてもよい)。」
「もし、授業時間をうまく活用しなくてはならないのならば、結果として授業で分からない部分を明確にして質問するというアクションを取る。(なぜならば、授業を「聞く」ことではなく、「分からない部分が分かる」ことが大切だから)。」
「もし、「もし…ならば、結果として~になる。なぜならば…」の形で整理すると分からないところが分かるようになり、かつ、授業で分からない部分を明確にして質問するならば、結果として分かるようになる。(なぜならば、このやり方であれば、先生が分からない部分にポイント絞って教えてくれるから)。」
必ず、「もし…ならば、結果として~になる。なぜならば…」の形に当てはめて、声に出して読んでみよう。そうすると、話がつながっているかどうかがよく分かる。
生徒さんの顔が、パッと明るくなった。
具体的にどうやるかを直接教えて欲しいという方はコチラもどうぞ。
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